こんにちは、らくとです。
私は本が大好きで、小学校の頃からずっと本を読み続けて大人になりました。
この記事では、そんな私がこれまでに読んだ全ての本の中で特に心に残っている最高の小説を17冊、紹介したいと思います。
なお、ここで紹介するのはミステリー以外の小説です。というのも、ミステリー限定の、「最高のミステリー小説16選」という記事が別にあるからです。気になる人はぜひこちらもチェックしてみてください。↓
【厳選】本を愛する私が選ぶ、最高のミステリー小説16選! | らくとの本棚 (rakutonohondana.com)
最高の小説17選!
では早速、最高の小説17冊を紹介していきます。
きみの友だち:重松清
まず最初に紹介するのは、重松清さんの「きみの友だち」です。
タイトル通り、「友だち」というものについて描ききった連作長編小説です。
複数の友達を相合い傘に入れたせいで事故に遭い、足が不自由になってしまった恵美ちゃんは、それから「みんな」から離れて、病気がちな由香ちゃんとずっと二人でいるように。そして恵美ちゃんの弟、ブンちゃんは学校の人気者だが、デキる転校生、モトくんのことが気にくわず・・・。
この作品は、大筋は恵美ちゃんと由香ちゃんの物語ですが、この二人だけではなく、この二人を取り巻く他の子どもたちもそれぞれ、「友だち」とは何なのか、という問いに対する答えを探していく話です。
優等生、弱虫、いじめられっ子、八方美人、ひねくれた奴。自分の周りにも一人はいるような、そんな人々を描いているため、ああ、こういう子いたなあ、と頷きながら読みました。
そしてラストは間違いなく泣けますし、読み終わった後に、「きみの友だち」というタイトルを見ると胸がジーンとなります。私の中では感動した本No.1です。ぜひ読んでみてください。
てるてるあした:加納朋子
次に紹介するのは、加納朋子さんの「てるてるあした」です。
加納朋子さんらしい、心温まる物語です。
親が夜逃げし、一人「佐々良」という街を訪れた中学生の照代。そこで彼女が暮らすことになったのは、久代というお節介で口うるさいお婆さんの家。不満だらけの照代は久代になかなか心を開かない。しかし、不思議な出来事が起こり始め・・・。
加納朋子さんの「ささらシリーズ」3部作の2作目です。無愛想で周りに対する不満ばかり、そしてそんな自分のことも大嫌い・・・そんな照代が、佐々良の街で久代さんをはじめとする周りの人と接するうちに徐々に変わっていく様子に、心が温かくなります。私が特にこの作品に思い入れがあるのは、変わる前の照代と自分が似ていて、共感できるところがたくさんあったからです。だからこそ、照代が変わっていく姿に勇気と元気をもらいました。
ラストには驚くべき事実が明かされるので、ミステリーにも分類されるかもしれませんが、私個人的にはこれはミステリーよりもヒューマンドラマかなと思ったので、ここで紹介しました。
なお、ささらシリーズ1作目の「ささらさや」も面白いので、ぜひ。↓
最後の記憶:綾辻行人
次に紹介するのは、綾辻行人さんの「最後の記憶」です。
綾辻行人さんの幻想ホラーです。
脳の病を患い、ほとんど全ての記憶が消えつつある母・千鶴。彼女の心に残されたのは、幼い頃に経験したという「凄まじい恐怖の記憶」だけ。白い閃光、バッタの飛ぶ音、そして子どもたちの悲鳴・・・。波多野森吾は、その記憶の正体を探り始めるが・・・。
綾辻行人さんは一番好きな作家さんなのですが、その綾辻さんの作品の中でも、個人的に1,2を争うくらいに好きな作品です。
全体的にどこか曖昧で、ふわふわした幻想的な雰囲気が漂っています。何だかおかしな夢の中に迷い込んだような不安さ、不気味さ、でもどこかに美しさもある・・・そんな物語です。綾辻行人さんの独特の世界観にどっぷり浸かることのできる一冊です。
個人的に、角川文庫で遠田志帆さんが手がけた表紙↑が物語に合っていてすごくお気に入りです。
夜市:恒川光太郎
お次に紹介するのが恒川光太郎さんの「夜市」です。
日本ホラー小説大賞受賞作の中でもかなり高い評価を得ている幻想ホラーです。
妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場「夜市」。ここでは、代償さえ払えば、望むものが何でも手に入る。小学生の頃に夜市に迷い込んだ裕司は、幼い弟と引き換えに「野球の才能」を買った。そのことにずっと罪悪感を覚えていた裕司は、今夜、弟を買い戻すために再び夜市を訪れる。
圧巻の美しさを持つ、不朽の一冊です。苦しい決意を胸に夜市に入り込む主人公、雑多ながら、静かで、どこか懐かしさも感じる夜市の雰囲気、そして、魂を揺さぶる奇跡のエンディング。最初から最後まで何とも言えず完璧に美しく、読み終わった後も、その世界観からなかなか抜け出せません。
表題作「夜市」と共に収録されている「風の古道」も夜市に負けず劣らず素晴らしい中編です。
夜は短し歩けよ乙女:森見登美彦
お次に紹介するのは、森見登美彦さんの「夜は短し歩けよ乙女」です。
本屋大賞の2位にも選ばれた、大学生に人気の一冊です。
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる先輩は、彼女の姿を追い求めて、京都の様々な場所へ現れる。しかし乙女はその想いに気付かず、その出会いを「奇遇ですねえ!」で片付けてしまう始末。そんな2人を待ち受けるのは、個性豊かな曲者たちと珍事件の数々。
「ポップでキュートな恋愛ファンタジーin京都」というキャッチコピーが付けられていますが、これ以上にこの作品を一言で的確に言い表した言葉はないと思います。
恋のために奔走する先輩の馬鹿さ加減が最高に面白く、独特の口調で放たれるユーモアたっぷりの言葉に思わずくすりと笑ってしまいます。そして、そんな先輩と乙女が巻き込まれる出来事は奇妙で現実離れしており、そのドタバタから目が離せません。
そして、この本を読むと無性に京都に行きたくなります。京都の街なら本当にこんな不思議なことが起こるのではないか?と思わせてくれる、魅力たっぷりの本です。
夏への扉:ロバート・A・ハインライン
次に紹介するのが、ロバート・A・ハインラインの「夏への扉」です。
永遠の名作と言われるSF小説です。
1970年12月3日、僕の心は凍てつく冬の中にいた。友達と恋人に裏切られ、生命から二番目に大切な発明さえ騙し取られてしまったのだ!失意の中で僕は、「冷凍睡眠保険(コールド・スリープ)」のネオンサインに引き寄せられて・・・。
「僕の飼っている猫のピートは、冬になるときまって夏への扉を探しはじめる」・・・有名な一文ですが、この作品は、主人公が、まさに飼い猫のピートのように、夏への扉を探して奮闘する話です。信じていた者に裏切られてどん底にいた主人公が、それでも絶望することなく、自身の勇気と知恵を使って、再び幸せになろうとする姿に元気をもらえます。
主人公の猫愛が強いので、猫好きにもおすすめの一冊です。
勝手にふるえてろ:綿矢りさ
次に紹介するのは、綿矢りささんの「勝手にふるえてろ」です。
少し独特で、でもキュートな恋愛小説です。
江藤良香、26歳。中学時代の同級生・イチへの片想い以外、恋愛経験なし。しかもまだイチのことが忘れられず、妄想の中で生きている。しかし、そんなヨシカに、熱烈にアプローチしてくる同僚・二が現れた。理想と現実の狭間で悩むヨシカの恋の行方は・・・?
恋愛小説ですが、キラキラ感はなく、綺麗さもあまりなく、大人の、それも恋愛経験に乏しい人間のリアルな恋愛を描いています。ヨシカは主人公ではありますが、恋愛小説のヒロインらしい可愛らしさ、素直さはあまりなく、かなりひねくれていて、面倒くさい人間です。けれど、そのひねくれはきっと表には出さないけれど、誰でも心当たりがあるもので、だからこそ、読者はみんな、けっして「いい子」ではないヨシカを嫌いになれずに、共感とともに物語に引き込まれてしまうのです。
アルジャーノンに花束を:ダニエル・キイス
次に紹介するのは、ダニエル・キイスの「アルジャーノンに花束を」です。
全世界が涙した不朽の名作です。
32歳になっても幼児なみの知能しか持たないチャーリイ・ゴードン。そんな彼に舞い込んだのは、手術により頭が良くなるという夢のような話。その話を受けることにした彼は、手術により、だんだん知能が向上していき、やがて天才に変貌する。
あまり本を読んで泣かない私なのですが、この本はそんな私でも泣かずにはいられませんでした。
知的障がいを持つチャーリイは、頭が良くなりさえすれば幸せになれる・・・わけではなく、頭が良くなったことでかえって知りたくなかったことを知ってしまったり、綺麗だった部分がなくなってしまったり・・・。人生において、本当に大切なこととは何か。幸せとは何か。深く考えさせられる一冊でした。
個人的に、ラスト一行で涙腺崩壊しました。
永遠の0:百田尚樹
次に紹介するのは、百田尚樹さんの「永遠の0」です。
戦争の中生きた一人の男の生涯を描いた小説で、映画化もされ、大ヒットしました。
終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。零戦に乗って戦い、最後は特攻で散ったという祖父。当時の祖父を知る人々に会って話を聞く内に、想像とは違う人物像が浮かび上がる。「死にたくない」と言い続けていたという祖父はなぜ自ら特攻に行ったのか。
圧巻の小説でした。日本の戦争がいかに悲惨だったのかということを思い知らされました。ほとんど勝ち目のない意地だけの戦い、そしてそのために使い捨てられるたくさんの軍人たちの命・・・読むのが辛くなって、何度か本を置いてしまいました。
死が日常であり、そして名誉でもあった戦争の中で、命を大切にする心を持ち続けた宮部久蔵の生き様、そして、最後に明かされる、今に繋がる真実が胸を揺さぶりました。戦争を知らない今の日本人が絶対に読むべき一冊です。
博士の愛した数式:小川洋子
次に紹介するのは、小川洋子さんの「博士の愛した数式」です。
記念すべき第1回の本屋大賞を受賞した作品です。
「僕の記憶は80分しか持たない」・・・記憶力を失った博士の元に家政婦として勤めることになった私。私の存在は博士に記憶されないため、私と博士は毎日が初対面。元数論の大学教授の博士との会話の多くは、数学のこと。やがて、二人の日々に私の10歳の息子「ルート」も加わり・・・。
優しくて美しい物語でした。博士、家政婦の私、そしてその息子の3人の交流を温かなまなざしで描いています。それほど特別なことが起こることもない、静かで、でも満ち足りた日々は、読んでいると心が穏やかになります。しかし、そんな素敵な日々を過ごしながらも、博士はそれを記憶することができない、それがこの物語の切ないところでもあります。
じんわりと温かい涙が湧いてくる、愛の物語です。
キッチン:吉本ばなな
次に紹介するのは吉本ばななさんの「キッチン」です。
かなり有名な作品で、国を越えて読み継がれるロング・ベストセラーです。
「私がこの世で一番好きな場所は台所だと思う」・・・祖母の死によって住むところに困った私。しかしある縁から、一人の青年とその母親との同居生活を始めることになります。
この物語には、終始そこはかとない淋しさがつきまとっています。主人公の奇妙で不自然な同居生活を通して、人が死ぬということ、生きるということ、そして人を愛するということについて優しく教えてくれる一冊です。その繊細で美しい文章は、読んでいるとじわじわと心に染み入って、奥底から心を浄化してくれるような、そんな気持ちになります。
個人的には、表題作の「キッチン」と同じくらい、収録作の「ムーンライト・シャドウ」も好きです。こちらは恋人を亡くした女性の再生の物語です。どちらも素晴らしいので、ぜひ読んでみてください。
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない:桜庭一樹
次に紹介するのは桜庭一樹さんの「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」です。
一応青春小説ということになってはいますが、爽やかではなく残酷で痛々しい物語です。
中学生の山田なぎさは、お金という“実弾”を手にするために自衛官を希望する現実的な少女。転校生の海野藻屑はそんななぎさにやたらと絡んでくる。嘘つきで残酷だが魅力的な藻屑となぎさは徐々に親しくなるが、藻屑は日夜父親からの暴力に曝されており・・・。
“実弾”を持たず、大人に頼って生きるしかない子どもという境遇に対する絶望を細やかに、独特の表現で描いています。冒頭で明かされる結末はあまりにも哀しく残酷で、その結末に向かって突き進んでいくと分かっていながら読むのはとても苦しく、そしてやりきれなかったです。
子ども時代を生き抜けずに、大人になれない子どもたちがいるということ、それについて痛いほどに考えさせられる作品でした。読み終わったときにそのタイトルに胸を痛めるはずです。
手紙:東野圭吾
次に紹介するのは、東野圭吾さんの「手紙」です。
犯罪加害者の家族の人生について真っ向から描いた不朽の名作です。
強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟の直貴の元には、獄中から毎月手紙が届く・・・。しかし、進学、就職、恋愛と、直貴が幸せを掴もうとする度に、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ち塞がる。自分の人生か、たった一人の家族である兄か。直貴が最後に下した決断とは。
被害者遺族の悲しみやつらさは想像しようとする人も多いでしょうが、加害者家族はどうでしょうか。加害者とともに悪とみなされ、バッシングを受けることも多いでしょう。
この小説では、主人公の人生を通して、そんな加害者家族の苦しみを真正面から描いています。どこに行っても立ち塞がる残酷な運命、でもその原因は自分の家族。世間からの冷徹な「区別」により、手に入れかけた幸せを何度も諦める主人公の姿には胸が痛みます。そしてラストシーンは号泣必至です。
黄色い目の魚:佐藤多佳子
次に紹介するのは、佐藤多佳子さんの「黄色い目の魚」です。
高校生の男女の関係を瑞々しく描いた、青春小説の傑作です。
周囲と溶け合わず、イラストレーターの叔父にだけ心を許している村田みのり。絵を描くのが好きな木島悟は、美術の授業でデッサンをして以来、気が付くとみのりの表情を追っている。二人の間には、次第に、名付けようのない強くまっすぐな想いが生まれていく・・・。
子どもから大人へ移り変わる高校生という時期の二人の男女の姿を等身大で描いています。不器用でもどかしく、迷ったり悩んだりして、でもかっこはつけたい・・・今高校生の人も、かつて高校生だった人も、みんな心当たりがあるであろう心情を、丁寧に描いています。そんな主人公二人が絵を通して、次第にまっすぐに、一生懸命になっていくのが読んでいて清々しいです。潮の匂いの混じった爽やかな風が吹き抜けるような、そんな一冊です。
雪の断章:佐々木丸美
次に紹介するのは、佐々木丸美さんの「雪の断章」です。
雪の街を舞台に、孤独な少女と一人の青年の葛藤の年月を描く著者の代表作です。
孤児である倉折飛鳥は、ある日、引き取られた家での虐げに耐えかねて逃げ出してしまう。そんな飛鳥を助けたのは、優しい青年、滝杷祐也だった。彼は周囲の反対を押し切り、飛鳥を手元に引き取る。祐也やその親友の史郎などに見守られ、成長していく飛鳥だが、ある毒殺事件をきっかけに、人々の思いは錯綜を深めていく。
とても切なく、そして哀しい物語でした。特筆すべきは、その文章表現の美しさです。あらすじにもありますが、その筆致は、まさに「雪の結晶のように」繊細で美しく、読む者の心に静かに降り積もっていきます。少女の孤独と、それを包む大人たちの愛、そして毒殺事件をめぐる葛藤・・・。様々な人の思いが入り混じった末に行き着く結末は、人間の罪というものについて深く考えさせてくれます。
まるで一枚の絵画のように美しい佐々木丸美さんの世界観に、ぜひ浸ってみてください。
友情:武者小路実篤
お次に紹介するのは、武者小路実篤の「友情」です。
友情と愛情、恋愛と失恋を描いた日本文学の代表的青春小説です。
若い作家・野島は、劇場の廊下で初めて杉子を見たときから、彼女に心奪われる。彼の想いを知った友人・大宮は、彼の恋の成就のために力を貸すことにした。しかし杉子の想いは大宮に向いていき・・・。
今も昔も、恋愛というのはあまり変わらないのだな、と思いました。野島の、杉子の態度にいちいち一喜一憂するところも、想いはとても強いのになぜか上手く行かないところも、そして大宮が恋と友情の狭間で悩み苦しむところも、今の私たちの恋愛と変わらず、親近感を持って読めます。でも、私がこの小説で一番好きところはラストシーンです。切なくも力強い野島の言葉に、胸が熱くなります。
戦前の作品ですが、恋愛と友情をテーマにしており、会話文も多く読みやすいので、ぜひ読んでみてください。
青空の向こう:アレックス・シアラー
最後に紹介するのは、アレックス・シアラーの「青空の向こう」です。
死んでしまった少年の最後の日々を描いた、号泣必至のファンタジー小説です。
交通事故で突然死んでしまった少年・ハリー。彼は、青空の向こうから、ふわりと地上に戻ってきた。やり残したことを片付けて、〈彼方の青い世界〉に行くために・・・。
泣かずにはいられない小説でした。自分がいなくなった後の世界を見て回るハリーの心情を考えると、胸が張り裂けそうに痛みました。「不幸さえも羨ましい。だって、少なくともみんなは生きてるんだから。ぼくとちがって」そんなハリーの悲痛な叫びは、私の心をはっとさせて、今生きていることそれだけで幸せだということ、そしてそれはいつ失われるか分からないから、もっと一瞬一瞬を大切に生きなければならないということを教えてくれました。
純粋な涙を流したい人は、ぜひ読んでみてください。
まとめ
どうでしたでしょうか。
この記事では、ミステリー以外のおすすめ小説を17冊、紹介しました。
他にも素晴らしい小説はたくさんあるので絞るのが難しかったですが、タイトルにもある通り、その中でも特に私の心に残ったもの、そして多くの人の心にも残るだろうと思う作品を厳選しました。
気になった作品がありましたら、ぜひ手に取ってみてください。
では、ここらで。
よい読書ライフを!
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