【おすすめ作家】青崎有吾の魅力と作品を紹介します!

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 みなさんこんにちは、らくとです。
 突然ですがみなさん、「青崎有吾」という作家さんをご存じでしょうか。
 今年に入って二つのシリーズが立て続けにアニメ化・ドラマ化されたことで、今若い世代を中心に注目を浴びている推理作家さんです。
 実は私はこの人をデビュー作からずっと追っていて、今のところ1冊の本として刊行された作品は全て読んでいるほど好きな作家さんです(どこかの雑誌やアンソロジーに載っている短編までは追い切れていないです・・・)。
 この記事では、そんな私が、今注目の作家・青崎有吾さんのプロフィール、そして個人的に魅力だと思う部分、そして彼のシリーズ・作品を紹介していきたいと思います。
 興味を持たれた方はぜひ、最後まで目を通していただければ嬉しいです(^^)

青崎有吾さんとは?

 まずは青崎有吾さんのプロフィールを軽く紹介します。


 青崎有吾さんは1991年生まれで出身は神奈川県です。明治大学の文学部を卒業しており、在学時はミステリ研究会に所属していたそうです。


 2012年に『体育館の殺人』で第22回鮎川哲也賞を受賞して、若くしてデビューしました。ちなみに鮎川哲也賞というのは、東京創元社が主催するミステリーの新人賞で、それほどメジャーな新人賞ではありませんが、レベルの高い新人を毎年発掘しています。


 デビューから今まで、レベルの高いミステリー作品を出し続けており、本格ミステリ大賞や日本推理作家協会賞の候補に挙がったこともあります。

青崎有吾作品の魅力

 個人的に思う青崎有吾さんの魅力はたくさんあるのですが、その中でも特に大事だと思う3つをここでは紹介したいと思います。

1.ロジック重視の謎解き

 まず何と言っても青崎さんはミステリー作家さんなので、その魅力の大きな部分はやはり謎解き部分にあります。

 青崎さんのミステリーの特徴として、トリックよりもロジックを重視するという点があります。青崎有吾さんが「平成のエラリー・クイーン」などと呼ばれている所以はここにあります。現場の状況や登場人物の行動など些細なことを手がかりにして、一つ一つ可能性を消去しながら、あくまでも論理的に犯人に辿り着く・・・その謎解きの行程がとても美しく、そこが大きな魅力です。

 エラリー・クイーンや有栖川有栖さんなどロジックを重視するタイプのミステリーが好きな人は青崎有吾さんも好きだと思います。

2.キャラクターが魅力的

 二つ目として、これも青崎有吾さんを語る上で外せない要素だと思うのですが、彼の作品に出てくるキャラクターは軒並み個性的かつ魅力的です。

 例えば、学校に住むアニメオタクの天才高校生だとか、お調子者のようで内に狂気を抱えているエセ噺家男とか(それぞれどの作品のキャラクターかは次のおすすめ作品紹介で分かります!)、青崎有吾さんの作り出すキャラクターは、奇抜で面白く、人々の興味をひく引力を持っています

 また、今のところ青崎さんの作品はシリーズになっているものがほとんどなので、シリーズで話が進むごとに、キャラクターへの愛着や好奇心もどんどん増していきます

3.ライトで読みやすい

 青崎有吾作品の三つ目の魅力は、全体的にライトなので、読書初心者でも読みやすいということです。

 「論理を重視した本格ミステリー」というと何だかお堅いイメージがするかもしれませんが、青崎有吾作品はそんなことはなく、上記したようにキャラクターが魅力的だし、会話や文章にもユーモアがたっぷり溢れているので、ライトノベルのような感覚でサクサク読めます。でもミステリーとしてきちんとするべきところはきちんとしているので、本格ミステリとしても遜色ありません。

 青崎有吾さんは、鮎川哲也賞に応募する前に2作品ほどライトノベル関係の賞にも応募していたようなので、そういう少しライトノベルっぽいのが青崎さんのスタイルなのだと思います。なので普段あまり読書をしない人でも読みやすいと思います。

青崎有吾さんの作品紹介

 ではここからは、青崎さんの作品紹介をしていきます!

1.裏染シリーズ

 やはり最初に紹介するのは、青崎さんのデビュー作で、また代表ともいえる「裏染シリーズ」です。


 現時点(2023年10月)で、長編が3作、短編集が1作出ています。


 裏染天馬という男子高校生が探偵役で、彼はなぜか内緒で学校の一室に住んでいて、アニメオタクで、怠惰な駄目人間で、そして天才です。語り手は袴田柚乃という卓球部の女子高生で、ひょんなことから裏染と知り合います。彼女は比較的常識的な感覚の持ち主です。高校生が主人公ではありますが、日常の謎ではなく、長編の場合はがっつり殺人事件が起こります。ざっくり言うと、学校の内外で起こる事件を裏染天馬が解決する、という話です。

 裏染によって繰り広げられる、論理的思考に基づいた美しい推理がこのシリーズの一番の魅力ですが、それ以外にも、出てくるキャラクターのキャラの濃さ、彼らによる漫才のような掛け合いも魅力の一つ。また、なぜ裏染は学校で暮らしているのか、などの彼にまつわる謎がシリーズを通して少しずつ明かされていくのも面白いです。

 結構長いこと新刊が出ていないので、青崎先生、早く続きを出してください涙
 下にリンクを貼っておきます。内容は、ほぼタイトルそのままです笑。

↓『体育館の殺人』(デビュー作・長編)

 ↓『水族館の殺人』(長編)

↓『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』(短編集)

↓『図書館の殺人』(長編)

2.アンデッドガール・マーダーファルスシリーズ

 次に紹介するのは、2023年にアニメ化されて話題になった「アンデッドガール・マーダーファルス」シリーズです。

 現時点(2023年・10月)で長編3冊、短編集が1冊出ています。

 このシリーズは話が少し複雑です。まず舞台は、吸血鬼や人造人間、人狼など人ならざるものが蠢く、私たちの住む世界とは少し違う世界線にある、19世紀のヨーロッパ。そこで活躍するのは、日本からやって来た“怪物事件”専門の探偵・輪堂鴉夜と奇妙な鳥籠を持つ男、真打津軽。彼らはその名の通り、怪物の関わる事件を見事な推理力で解決していきます。しかし、彼らがはるばるヨーロッパまでやって来たのには、ある大事な目的があって・・・とまあ、こういうお話です。

 ネタバレをしたくないのであまり詳しいことは言えませんが、このあらすじだけで十分面白そうではないですか?相変わらずロジックを重視した推理ももちろん素晴らしいのですが、個人的にこのシリーズは世界観がすごく魅力的だな、と思います。どこか滑稽で、でも恐ろしく、そして美しい・・・そんな独特な世界観が好きです。そしてこちらもまたキャラクターが個性的で、漫才のようなテンポのいい会話が面白いです。

 ※このシリーズは、けっこう話が繋がっているので、絶対に順番通りに読むことをおすすめします。

↓『アンデッドガール・マーダーファルス1』
 全ての始まり。鴉夜と津軽の出会いと、吸血鬼と人造人間の関わる二つの事件が収録。

↓『アンデッドガール・マーダーファルス2』
 怪盗アルセーヌ・ルパン登場。ダイヤを巡った探偵と怪盗と悪の組織の頭脳戦。

↓『アンデッドガール・マーダーファルス3』
 ドイツのある村で起きた怪事件。それはその村の崖下に隠れ住む人狼たちの仕業なのか?

↓『アンデッドガール・マーダーファルス4』
 今に至るまでの探偵たちの長い過去が明かされる、ファンに嬉しい短編集。

3.ノッキンオン・ロックドドアシリーズ

 3つ目に紹介するのは、こちらも2023年に実写ドラマ化されて話題になった「ノッキンオン・ロックドドアシリーズ」です。

 現時点(2023年10月)で2冊出ています。完結した感じなので、もう新刊は出ないかな、と思います。

 「ノッキンオン・ロックドドア」という名前の探偵事務所にいる2人の探偵の活躍を描いたミステリー小説です。不可能〈HOW〉な状況のトリックを推理する御殿場倒理と、不可解〈WHY〉な状況から理由や動機を解明する片無氷雨。対照的な二人の探偵がバディを組み、事務所に持ち込まれる事件を解決していく話です。基本的には1話完結型の短編形式となっており、登場人物たちの面白いキャラクターも相まってサクッと読めます。

 短編ながらもミステリーの質が高い話ばかりなので、読んだ後に満足感が得られます。2人の探偵がいて、不可能専門と不可解専門という風に、解く謎の性質によって担当が分かれているというのも面白いですし、その設定が話の展開に上手く生かされたりしていて、全体的に見てよくできているなあ、と思いました。また、探偵たちの心に影を落とす過去のある事件、そしてある人物の存在・・・それらがシリーズを通して明らかになっていくのもまた見所です。

「ノッキンオン・ロックドドア」↓

「ノッキンオン・ロックドドア2」↓

4.早朝始発の殺風景

 次に紹介するのは、青崎さんにしては珍しいノンシリーズ、「早朝始発の殺風景」です。

 始発の電車で、放課後のファミレスで、観覧車のゴンドラの中で。不器用な高校生たちの関係が、小さな謎と会話を通して、少しずつ変わっていく・・・。ワンシチュエーション(場面転換なし)&リアルタイム進行でまっすぐあなたにお届けする、5つの青春密室劇。

 青崎有吾さんの作品はこれまで、殺人とか、わりとがっつりめの事件が起こるミステリーがほとんどだったので、青春+日常の謎の短編集って、青崎さんが書くとどんな感じなのだろう、と思いわくわくしながら手に取りました。全く期待を裏切らない、楽しく面白い短編集でした。日常の謎というとやはり殺人とかに比べるとインパクトはぐっと減るのですが、退屈することなく最後まで読めました。高校生たちの穏やかな日常とその中にふと立ち現れる不穏な空気、そして単純ように見えて複雑な心情。それらのバランスがよく、初心者でも読みやすい作品だと思います。

 ちなみに、個人的に、表紙の絵がとても好みです。(水元さきのさんというイラストレーターさんの作品です)

5.11文字の檻

 最後に紹介するのは、デビュー10周年を記念して刊行された短編集11文字の檻」です。
 雑誌やアンソロジーなど様々な場所で発表された青崎さんの短編を集め、書き下ろしを一本加えた上で1冊の本にまとめています。

 JR福知山線脱線事故を題材にした「加速してゆく」、全面ガラス張りの屋敷で起きた不可能殺人を描く「噤ヶ森の硝子屋敷」、奇妙な刑務所に囚われた者たちの知力を尽くした挑戦を描いた書き下ろし「11文字の檻」など、多種多様な短編をまとめたデビュー10周年記念作品集

 元々別々の場所で、それぞれのテーマに沿って書かれた過去の短編を集めて載せているので、まとまりがあるかと言われるとないのですが、そのまとまりのなさがまた楽しくもある短編集です。青崎有吾さんファンの私にとっては、青崎さんの、追い切れていなかった数々の短編がこれで読めてとても幸せでした。

 個人的には「加速してゆく」と「11文字の檻」が秀逸でとても面白かったです。

まとめ

 どうでしたか?

 2023年は、「アンデッドガール・マーダーファルス」のアニメ化と「ノッキンオン・ロックドドア」のドラマ化がほぼ同時期に行われ、青崎有吾さんの存在が多くの人に知られるきっかけになった年だと思います。ドラマやアニメを見て面白かった!という人はぜひ原作小説も手に取ってみて、そしてそれも面白かった!と思ったなら、ぜひ他の青崎有吾作品も読んでみてください!

 そして青崎有吾先生、早く裏染シリーズの新刊を出してください笑!

 では、ここらで。
 良い読書ライフを!

 

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