【読書の秋】秋に読みたいおすすめ小説13選!

おすすめの本
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 みなさんこんにちは、らくとです。
 今年も夏が終わり、秋がやって来ました。読書の秋、食欲の秋、スポーツの秋などという言葉があるように、秋というのは暑くもなく寒くもなく、年度も半分ほどが過ぎて新しい環境にも慣れてきて、人間にとっては過ごしやすい季節だと言えるでしょう。しかし同時に、少し物悲しいというか、人肌の恋しくなる、そんな季節でもあります。読書好きにとっては、秋はもちろん「読書の秋」。そこで、この記事では、秋に読みたい本を13冊、みなさんに紹介したいと思います。本の選び方については、私の独断と偏見で何となくイメージが秋っぽいな、と思った本を選んでいます。秋という季節にぴったりな、落ち着いていて少し地味めの、しかししっかりと面白く心に残る本を選んでいますので、ぜひ参考にしてみてください!

秋によみたい本13選!

 早速、紹介していきます!

秋の牢獄:恒川光太郎

 まず紹介するのは、恒川光太郎さんの「秋の牢獄」です。

 11月7日、水曜日。女子大生の藍は、秋のその一日を、何度も繰り返している。毎日同じ講義、友人との同じ会話。朝になれば全てがリセットされ、また11月7日が始まる。この繰り返しには何か意味があるのか。そして、この繰り返しの日々に、いつか終わりは訪れるのだろうか・・・(「秋の牢獄」)。幻想小説の名手、恒川光太郎の珠玉の短編集。
 恒川ワールドにじっくりと浸ることのできる短編集です。短編なのに、一つ一つの話の中にそれぞれの世界が無限に広がっていて、読んでいくうちにどんどん深くまで入り込んでいくような感じがして、とても満足でした。表題作もよかったですが、個人的には「神家没落」が好みでした。

狂骨の夢:京極夏彦

 次に紹介するのは、京極夏彦さんの百鬼夜行シリーズ3冊目、「狂骨の夢」です。

 夫を四度殺した女、朱美。極度の強迫観念に脅える元精神科医、降旗。神を信じ得ぬ牧師、白丘。夢と現実の縺れに悩む3人の前に、怪事件が続発する。海に漂う金色の髑髏、山中での集団自決・・・京極堂はこの縺れた事件を解し、憑き物を落とせるのか?
 人気シリーズの第3弾です。シリーズの中では比較的地味めですが、個人的には隠れた名作だと思っています。縺れ、絡み合った事件が丁寧に解され、綺麗に一本に繋がる様は圧巻。シリーズの他の作品に比べるとページ数も少なく(といっても一般的には多いが)、読みやすいかと思います。
 ただ、やはりシリーズは順番に読むのが一番だと思うので、前2作「姑獲鳥の夏」「魍魎の匣」を先に読んでおくのがおすすめです。↓

デッドエンドの思い出:吉本ばなな

 次に紹介するのは、吉本ばななさんの「デッドエンドの思い出」です。

 「幸せってどういう感じなの?」婚約者に手ひどく裏切られた私は、子どものころ虐待を受けたと騒がれ、今は「袋小路」という飲食店で雇われ店長をしている西山君に、ふと、尋ねた・・・(「デッドエンドの思い出」)。かけがえのない祝福の瞬間を鮮やかに描く珠玉の短編集。
 吉本ばななさんらしい、少しの哀しさと、不幸と、そして温かさと、ささやかな幸せに満ちた素敵な短編集でした。吉本ばななさんは、いつも洗練された美しい文章で、当たり前だけど大切なことに気付かせてくれる気がします。秋という落ち着いた季節に読むのにぴったりな本です。

とんび:重松清

 次に紹介するのは重松清さんの「とんび」です。

 昭和37年、ヤスさんと愛妻・美佐子さんとの間に待望の長男アキラが誕生し、家族3人での生活がスタートした。しかし、その幸せは突然の悲劇によって断ち切られてしまう・・・。ただ我が子の幸せだけを願い続けた、不器用な父親の姿を描く、親子の物語
 いつの世も、どこでも、形ややり方は変わっても、親から子への愛情だけは変わらないと思うし、変わらずにあってほしいと思います。そして、母親と比べると子と接する機会の少ない父親だからこその不器用さ、懸命さが心を打ちました。人肌恋しくなる秋という季節に、親や家族のことを思い出しながら読んでほしい一冊です。

ツナグ:辻村深月

 次に紹介するのは、辻村深月さんの「ツナグ」です。

 一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。年老いた母に癌告知できなかった頑固な息子、失踪した恋人を待ち続ける会社員・・・ツナグの元再会した生者と死者。それぞれの思いを抱えた一夜の邂逅は、何をもたらすのか
 とても有名な作品です。一度だけ、死んだ人に出会い、言葉が交わせるとすれば?亡くなってしまった人に言いそびれた言葉、伝えられなかった思いは多かれ少なかれ誰にでもあるはずです。これからも自分の人生は続いていくのに、もう二度と会えない人がいる。死というのはとても哀しいものです。自分だったら、「使者介して誰にどんな言葉をかけるのか、想像しながら読んでほしい一冊です。

贖罪:湊かなえ

次に紹介するのは湊かなえさんの「贖罪」です。

 15年前、静かな田舎町でひとりの女児が殺された。直前まで一緒に遊んでいた4人の女の子は、犯人と思われる男と言葉を交わしていたのに、なぜか顔が思い出せず、事件は迷宮入りとなる。殺された女児の母親は彼女たちに言い放った・・・あなたたちを絶対に許さない、と。十字架を背負わされたまま成長した4人にふりかかる、悲劇の連鎖とは?
 いかにも湊かなえさんらしいイヤミスでした。15年前の事件と、被害者の母親の言葉に囚われた4人の少女たちのそれぞれの贖罪を描いた連作短編でした。罪を償うというのはどういうことなのか、そもそも彼女たちの罪とはなんなのか・・・考えさせられる話でした。人間の怖さというか人生の残酷さのようなものを感じた1冊でした。

光媒の花:道尾秀介

 次に紹介するのは道尾秀介さんの「光媒の花」です。

 認知症の母とひっそり暮らす男の、遠い夏の秘密。幼い兄妹が、小さな手で犯した闇夜の罪。心通わせた少女のため、少年が口にした淡い約束・・・。一匹の白い蝶がそっと見守るのは、光と影に満ちた人間の世界・・・全6章の連作群像劇。
 道尾秀介さんなのでまあ全体的に暗いのですが、ただ暗いだけではなく、仄かながらもそこには確かに光がある・・・そんなお話でした。短編ですが、それぞれがさりげなく繋がっているのが面白かったです。耐えきれないような辛いこともあるけれど、この世界って美しいんだなって、そう思えるような1冊でした。

草祭:恒川光太郎

 次に紹介するのは、恒川光太郎さんの「草祭」です。

 団地の奥から用水路を辿ると、そこは見たこともない野原だった。「美奥」の町のどこかでは、異界への扉がそっと開く・・・。消えたクラスメイトを探す雄也、衝撃的な過去から逃げる加奈江・・・異界に触れた人々の記憶に、奇蹟の物語が刻まれる。
 相変わらず恒川ワールドが炸裂しています。美奥という土地を中心にそっと広がっている異界へ足を踏み入れてしまった人々のお話です。現実と異界の狭間が曖昧で、ほんのちょっと角を曲がればいつの間にか違う世界にいる・・・そんな妖しくも美しい世界観が好きでした。個人的に、秋の夕暮れ時に読みたい作品です。

明日の記憶:荻原浩

 次に紹介するのは、荻原浩さんの「明日の記憶」です。

 広告代理店に勤める佐伯は、齢五十にして若年性アルツハイマーと診断された。仕事では重要な案件を任され、一人娘は結婚を間近に控えている。しかし、佐伯の都合をよそに、病は残酷に進行し、穏やかで幸せな記憶と日常を着々と奪い去っていく・・・山本周五郎賞受賞の感動長編。
 五十歳でアルツハイマーに侵された主人公と、それをとりまく人々のお話です。個人的なことですが、私の祖母も生前アルツハイマーだったので、主人公の家族の気持ちが少し分かりました。恐ろしく、そして哀しい病気でもあるアルツハイマー。しかし、そんな病気では揺るがない、確固たる愛の存在に胸を打たれる作品です。

異邦の騎士:島田荘司

 次に紹介するのは島田荘司さんの「異邦の騎士」です。

 失われた過去の記憶が浮かび上がり、男は戦慄する。自分は本当に、愛する妻子を殺したのか。やっと手にした幸せな生活に忍び寄る新たな魔の手。名探偵御手洗潔の最初の事件を描いた傑作ミステリー
 日本のミステリー界のレジェンドである島田荘司さんの作品の中でもかなり有名なミステリー小説です。あまりネタバレをしたくないので詳しいストーリーなどは書けないのですが、とにかく、ミステリー好きなら一度読んでみて欲しい作品です。御手洗シリーズの他作品のように派手なトリックや舞台が用意されているわけではありませんが、しっとりと驚き、そして楽しめる、大人のミステリーです。

九月が永遠に続けば:沼田まほかる

 次に紹介するのは、沼田まほかるさんの「九月が永遠に続けば」です。

 高校生の一人息子の失踪に始まり、佐和子の周囲で次々に不幸が起こり始める。愛人の事故死、別れた夫・雄一郎の娘の自殺。息子の行方を必死に探すうちに見え隠れしてきたのは、雄一郎とその後妻の忌まわしい過去だった・・・。ホラーサスペンス大賞受賞作。
 かなりレベルの高いサスペンスでした。私が驚いたのはその文章表現力です。心情や場面の描写に迫力があり、圧倒されながら読みました。決して気持ちのいい話ではなく、むしろ気持ち悪いというか、何とも言えない嫌な気持ちになる、いわゆるイヤミスなのですが、逆にその闇に引き込まれてしまうような、そんな作品でした。

ダレカガナカニイル・・・:井上夢人

 次に紹介するのは、井上夢人さんの「ダレカガナカニイル・・・」です。

 28歳独身、警備保障会社に勤める平凡な人間だった僕、西岡悟郎。しかし、あの8月2日の夜を境に僕に異変が起こり始める。僕の頭の中に、誰かがいるのだ・・・。井上夢人のデビュー作、多重人格ミステリー。
 自分の頭の中に自分以外の存在がいて、語りかけてくる・・・そんな異様な状況に置かれた男を主人公としたミステリー小説です。そのあらすじからもう面白そうではありませんか?新興宗教なども絡み、少しオカルト要素も強い作品で、ページ数も長いですが、面白いので一気読みできます。秋の長い夜のお供にぜひ読んでみてください。

さむけ:ロス・マクドナルド

 次に紹介するのは、ロス・マクドナルドの「さむけ」です。

 新婚旅行の初日に新妻のドリーが失踪し、茫然自失の状態の青年・アレックスを見かねた私立探偵アーチャーは、調査を開始した。ほどなくドリーの居場所は掴めたが、彼女は夫の元に帰るつもりはないという。数日後アレックスを訪ねたアーチャーが見たのは、狂乱するドリーの姿だった・・・。
 ハードボイルドの巨匠ロス・マクドナルドの代表作です。昔の小説(1960年代に発表)なので、物語にも若干の古さはあるのですが、それがまた味を出しています。現在から過去を辿っていく過程は地味ながらもしっかり面白く、引き込まれます。「さむけ」というシンプルなタイトルのよく似合うクールな一作です。

まとめ

 どうでしたか?

 気候的にも過ごしやすく、気持ちにもゆとりが出てくる秋は読書にぴったりの季節。長い夜の暇つぶしに、ぜひ本を読んでみてはいかがでしょうか。この記事では、秋という季節のイメージによく合う作品を13作、ピックアップして紹介しました。ぜひ、参考にしてみてください。

 では、ここらで。
 よい読書ライフを!

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