生きづらさを感じている人におすすめの小説15選

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 みなさんこんにちは、らくとです。

 突然ですがみなさん、

「何だかこの世界は自分に合っていない気がするな・・・」「生きづらいな・・・」

って思ったこと、ありますか?

 どんな人だって、生きている以上、辛いこともあれば哀しいこともあり、自分とは合わない人と接しなければならないときもあれば、自分はいるべきではないな、と思う場所にいなければならないこともあるでしょう。そういう状態が長く続けば、次第に、ぼんやりと「しんどいな・・・」「生きづらいな・・・」「もっと楽に生きたいな・・・」と思うようになります。それは誰でもありえることです。

 私も、決して世渡りの上手いタイプではないので、学校やバイト先や就職活動のときや、人生のいろんな場面で何度もそんな風に思ってきました。そんなときに私を支えてくれたのが、本でした。本を読んでときに共感・感情移入しながら、そしてときには現実逃避などもしながら、様々なことを何とか乗り越えてきて、今この文を書いています。

 この記事では、そんな私が選んだ、生きづらい」と感じている人に読んで欲しい作品を15冊、紹介したいと思います。本は実際に現実を変えてくれるわけではありませんが、それでも何かのきっかけになってくれることはあると思います。それは新しい自分に変わるきっかけかもしれないし、今の自分を受け入れるきっかけかもしれません。どちらにせよ、この記事で紹介した本が、誰かの人生の前向きなきっかけになればいいな、と思っています。

「生きづらい」と感じている人へのおすすめ15選

 では、早速紹介していこうと思います。

推し、燃ゆ:宇佐美りん

 まず紹介するのは、宇佐美りんさんの「推し、燃ゆ」です。

 アイドルの推しが生きがいのあかり。しかしある日突然、推しが炎上した。どうやらファンを殴ったらしい・・・これをきっかけに、あかりの毎日は少しずつ傾いていく。第164回芥川賞受賞作。

 今の時代、アイドルやアニメなど分野は違えど、「推し」という存在がいる人は多いのではないかと思います。誰かを自分のことのように全力で応援することで、自分自身の人生も豊かになる。「推し活」とはそういうもので、もはや一つの文化ともいえるかもしれません。この作品は、そんな現代の「推し」文化を背景に描かれた純文学です。「推し」と純文学というのは異様な組み合わせかもしれませんが、この作品は「推し活」というものの背後に隠れた主人公の生きづらさ、そして危うさを描いています。ぜひ、読んでみてください。

きよしこ:重松清

 次に紹介するのは重松清さんの「きよしこ」です。

 少年はひとりぼっちだった。言いたいことがいつも言えずに、悔しかった・・・。吃音を抱える少年・きよしの成長を描いた、思わず応援したくなる感涙小説

 吃音を抱えるため上手く話すことのできない少年・きよし。私も話すのが得意ではないので分かるのですが、「上手く話せない」というのはとてももどかしく、そして苦しいことです。そんな苦しさを抱えたきよしが、人生の中で様々な人に出会い、様々な思いをしながら、吃音と向き合い、人との関わり方を模索していきます。一人ぼっちだった少年が、少しずつ成長し、頼もしい大人になっていく姿は、読んでいる人に感動と、希望を与えてくれます。ぜひ、読んでみてください。

雨の降る日は学校に行かない:相沢沙呼

 次に紹介するのは、相沢沙呼さんの「雨の降る日は学校に行かない」です。

 私、要らない子なのかもしれない・・・保健室登校を続ける二人の少女。死ぬ理由を探してノートに書く少女。スカートの長さでランクが決まる教室。学校生活に息苦しさを感じている女子中学生6人の憂鬱と微かな希望を描き出す連作短編集

 大人になった今となっては、なんと狭い世界だったのだろうと思う学校。けれど、そのただ中にいる子たちにとっては、そこが世界の全てのように思えるものです。狭い「学校」という世界の中に閉じ込められ、隅っこで、上手く息が出来ずにあえいでいる女子中学生たちの姿をリアルに描いており、読んでいて胸が苦しくなりました。けれど、どれも希望が垣間見える終わり方で、それが良かったです。学校に行きたくない、と思っている人に特におすすめの1冊です。

かがみの狐城:辻村深月

 次に紹介するのは辻村深月さんの「かがみの孤城」です。

 学校での居場所をなくし、部屋に閉じこもっていたこころ。そんなある日、部屋にある鏡が光り始める。鏡をくぐり抜けた先にあったのは、お城のような謎の建物。そこには、こころと似たような状況にある7人の子どもたちが集められていた。2018年本屋大賞受賞作。

 鏡の向こうにあった、謎のお城。そこに集められていたのは、それぞれの理由で学校に行っていない7人の子どもたち。苦しいのにどうしたらいいか分からない、そんな子ども達の息苦しさ、そのやり場のなさが繊細に描かれていて、学校という場所を知っている人なら共感できる部分が多いのではないかと思います。少しずつ明かされていく真実、そしてラストシーンは圧巻です。読書初心者でもとっつきやすい作品だと思います。ぜひ読んでみてください。

カラフル:森絵都

 次に紹介するのは、森絵都さんの「カラフル」です。

 生前の罪により輪廻のサイクルから外された僕の魂が天使業界の抽選に当たり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年・真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。しかし、真はたくさんの問題を抱えていて・・・老若男女に読み継がれる不朽の名作

 素朴ながら、温かく、優しい物語でした。主人公が体を借りる真は、家庭や学校、恋愛など様々な面で問題を抱えており、そのせいで自殺を図った中学生。主人公は、仮の真として、真の抱える問題に向き合っていくうちに、少しずつ、大切なことに気付いていきます。綺麗なところも醜いところもあるこの世界は、まさにカラフル。読み終わったときには、少し肩の力を抜いて気楽に生きていこうかな、と思える1冊です。

西の魔女が死んだ:梨木香歩

 次に紹介するのは、梨木香歩さんの「西の魔女が死んだ」です。

 学校へ行かなくなった少女まいは、初夏までのひと月あまりを、「西の魔女」ことママのママ、おばあちゃんの元で過ごした。まいが受けた魔女修行、その要は、「何でも自分で決める」ということだった・・・。ロングベストセラー。

 題名からするとファンタジーのようですが、ファンタジー要素はあまりありません。他人との同調に耐えられず、学校に溶け込めなかった少女・まいが、「西の魔女」と呼ばれるおばあちゃんのところで、魔女修行という名目で心を休めるお話です。自然の中での二人の上品な暮らしは、少し西洋の雰囲気もあり、呼んでいると穏やかな気持ちになれます。優しく丁寧なおばあちゃんの言葉は人の疲れた心をそっと癒やす力を持っています。とても有名な作品なので、ぜひ一読してみてください。

白河夜船:吉本ばなな

 次に紹介するのは、吉本ばななさんの「白河夜船」です。

 上司との先の見えない不倫の不安と、親友・しおりの自殺のショック。心が疲れてしまった私は、逃げるように眠りの世界へ閉じこもる。しかし、やっぱり人は丈夫なものだと思う・・・停止した時間からの再生の物語。

 子どもだった頃は、大人というのは随分と自由な存在に思えましたが、実際は大人になっても、ままならないことはたくさん。自分の心のキャパを超えることが起き、心が疲れてしまうことは誰にでもあります。そんなとき、何も考えずにただ眠っていることができればどれだけ楽でしょう。けれど、いずれは目を覚まし、現実へ戻らなければなりません。これは、心の疲れた主人公が、つかの間の休息を経て再び目を覚ます物語。吉本ばななさんの綺麗な文章を読んでいると、人生にはこういう休息の時間も必要なのだと思えて、心が楽になれます。ぜひ読んでみてください。

よるのばけもの:住野よる

 次に紹介するのは住野よるさんの「よるのばけもの」です。

 夜になると、僕は化け物になる。ある日、いつも通り化け物になった僕は、忘れ物を取りに学校へ向かう。誰もいないと思っていたのに、なぜか夜の教室には少し変わったクラスメイト・矢野さつきがいた・・・。

 こちらも学校の息苦しさを描いた作品です。個人的に住野よるさんの作品の中で一番好きです。標的に選ばれた誰か一人を嘲笑ったり、除け者にしようとする、そしてされる側に回らないためにはそれに同調しなければならない・・・そんな“教室”という場所の息苦しさがリアルに描かれていて、読んでいて胸が苦しくなりました。そして、いじめる側の主人公といじめられる側の少女が、夜の教室で出会い、教室での立場を捨ててただ話をする・・・その結果見えてきたものとは何か。深い小説でした。

二百十番館にようこそ:加納朋子

 次に紹介するのは、加納朋子さんの「二百十番館にようこそ」です。

 就活に挫折して以来ずっと実家でゲームをして暮らすいわゆるニートの俺。そんな俺にいきなり転がり込んだ伯父の遺産は、離島に建つ館。しかし現地に下見にいった俺に両親から放たれたのは、衝撃の言葉・・・「そこで一人で生きていけ」。かくして始まった離島での自立生活。金銭問題解決のため、俺は館の下宿人を募るが・・・ニートたちの再起物語

 加納朋子さんらしさ全開の話でした。部屋に閉じこもって人とのリアルな交流を断っていた人生詰みかけのニートたちが、協力しあって一から離島での暮らしを始め、再起していく物語。文調もポップで明るく、登場人物たちはどこか頼りなくも応援したくなります。そして、伝わってくるのは、どんな人にも優しいまなざしを注ぐ加納朋子さんの温かさ。人生諦めかけている人や、生き疲れて暗い気持ちになっている人に笑いながら読んで欲しい1冊です。

晴天の迷いクジラ:窪美澄

 次に紹介するのは、窪美澄さんの「晴天の迷いクジラ」です。

 失恋と激務でうつを発症した会社員・由人。潰れゆく会社とともに人生を終わらせることを決めた社長・野々花。死ぬ前に湾に迷い込んだクジラを見に南の半島に向かった二人は、道中で一人の女子高生・正子に出会う・・・。

 傷つき、生きるのに疲れた3人が出会い、死ぬ前にと迷いクジラを見に行くお話。3人それぞれが抱えている事情がかなり重めなので、読むのが少ししんどい部分はありました。生きるのって本当に大変なんだなあ、と読みながら感じました。生きるのを辞めたいと思うほどに心が壊れてしまう・・・それはきっときっかけさえあれば誰にでもありえること。もしこれから私にそういうことがあったとしても、生を諦めずに、少しずつでいいから前を向いていこう、そんな風に思わせてくれる本でした。

コンビニ人間:村田沙耶香

 次に紹介するのは、村田沙耶香さんの「コンビニ人間」です。

 36歳未婚女性・古倉恵子。大学を卒業しても就職せず、コンビニバイトを続けること18年。男性との交際経験もなし。それでいいと思っていた。けれど、コンビニの新入りバイトの白羽くんに、そんな生き方は恥ずかしい、と言われてしまい・・・。

 芥川賞を受賞し、国内外でかなり話題になった作品です。就職も結婚もせず、身体に染みついたコンビニの仕事を毎日ただ機械的に続ける・・・そんな30代半ばの女性のお話。普通の人からすれば、彼女の生活、人生は異常で、そして恥ずかしいものかもしれません。けれど、この女性にとってはこれが普通で、ごく自然なこと。一体「普通」って何なのか、誰が決めるのか、自分の「普通」を誰かに押しつけていないか、色々と考えさせられるお話でした。「普通に生きる」ってどういうことなのか、考えたい人におすすめです。

何もかも憂鬱な夜に:中村文則

 次に紹介するのは、中村文則さんの「何もかも憂鬱な夜に」です。

 施設で育った刑務官の「僕」は、夫婦を刺殺した二十歳の未決囚・山井を担当している。一週間後に迫る控訴期限が切れれば死刑が確定するが、山井はまだ語らない何かを隠している・・・。

 題名や主人公の刑務官という立場からも分かるように、かなり鬱々とした暗い小説ですが、生きづらさや生きることに虚しさを抱えているときに読むと、何となく心が落ち着いて、これからの人生において大切な1冊になる、そんな作品だと思います。とにかく文章表現力に圧倒されました。特殊な経歴の登場人物たちなのに、不思議と共感できるところがありました。自分が心の中に抱えている混沌絶望が、的確に言語化されていて、何度もはっとさせられました。生き疲れている人にぜひ読んでほしいです。

こちらあみ子:今村夏子

 次に紹介するのは今村夏子さんの「こちらあみ子」です。

 あみ子は少し変わった女の子。優しい父と一緒に登下校してくれる兄、書道教室の先生でお腹に赤ちゃんがいる母、そして憧れの同級生、のり君。純粋なあみ子の行動が、人々の日常を少しずつ壊していく・・・衝撃のデビュー作。

 少し癖が強いというか、独特なテーマを扱った小説なので、軽い気持ちで読むのはおすすめしません。あみ子は無邪気で、人の心の機微を読み取ることの出来ない子。悪意のない彼女の行動が、決して悪人ではない周りの人々を少しずつ壊していくのが、読んでいて胸が苦しくなりました。誰も悪くないのがまた哀しいのです。お互いに理解できず、理解もされない。彼女にとってこの世界はとても生きづらいものでしょう。でも生きていかないといけない。後味は悪いけれど、この世界に実際にいるあみ子のような子の「生きづらさ」について考えさせられる作品です。

人間失格:太宰治

  次に紹介するのは、太宰治の「人間失格」です。

 3枚の奇怪な写真と共に渡された睡眠薬中毒者の手記には、その陰鬱な半生が克明に描かれていた。無邪気さを装い周囲を欺いた少年時代。次々と女性と関わり、自殺未遂を繰り返しながら薬物に溺れていくその姿。太宰が完成の1ヶ月後に自ら命を絶ったことから、「太宰治の遺書」とも言われる作品。

 もはや紹介するまでもないほど有名な文学作品です。暗いですが、落ち込んでいるときやどん底のときにこの暗さが心地よいという人もいるのではないでしょうか。一見すると恵まれた境遇のように見える一人の男の内に秘められた生の苦しみ、絶望。上手く生きられずにもがき苦しみながら堕ちていくその様、綴られるその繊細な心情に、共感したくないと思いながらも、共感してしまうところがあります。日本人に、人生で一度は読んでみてほしい名作です。

きいろいゾウ:西加奈子

 次に紹介するのは、西加奈子さんの「きいろいゾウ」です。

 東京からやってきた若夫婦が、田舎暮らしを始める。背中に大きなタトゥーの入っている、売れない小説家のムコと、周囲の生き物の声を聞くことができる繊細なツマ。二人の日々は穏やかに進んでいくが、二人の関係を壊しかねないある出来事が起こる・・・。

 仲良し夫婦ののんびりのびのび田舎暮らしに癒やされる一方で、ツマの心の中でゆっくりと徐々に育っていく漠然とした不安にはらはらもしながら読みました。愛する夫がすぐ隣にいて、都会の喧噪からも離れた慎ましいながらも幸せな暮らし・・・のはずなのに、ゆらゆらと動く不安定なツマの心。お互いに知らない部分や理解できない部分があることを思い知りながら、それでも一緒にいたいと思える人が人生にいることってすごいことなんだな、と思いました。少し不思議で、でもどこか懐かしく、優しい話でした。

まとめ

 どうでしたか?

 読んでみようと思う作品は見つかりましたか?

 私は本を紹介するだけですが、私の紹介した本を誰かが読んで、頑張ろうという元気をもらえたり、生きづらいのは自分だけではない、とか、このままの自分で生きてもいいのだ、などと思えたり、そして、本にはそれだけの力があるのだと知ってもらえれば、本紹介のブログを書いている身としてはとても幸せです。

 では、ここらで。
 良い読書ライフを!

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