みなさんこんにちは、らくとです。
私は小学生の頃から読書が大好きで、大人になった今でも本を読み続けています。
そこで、この記事では、そんな大の本好きの私が選んだ、最高のミステリー小説を16冊、厳選して紹介したいと思います!
実は、元々「最高の小説」で記事を書こうとしていたのですが、私がミステリー好きで、その半分がミステリーになってしまったので、ミステリーだけ個別に記事を作って紹介することにしました!(ミステリー以外のおすすめ小説の記事は別に書きます!)
なお、ミステリー小説については、過去にこのブログで、用語紹介とジャンル紹介をした記事がありますので、そちらもぜひ、参考までにご覧ください。
【初心者向け】ミステリージャンル紹介! | らくとの本棚 (rakutonohondana.com)
【初心者向け】ミステリーによく出てくる用語を具体的に解説します! | らくとの本棚 (rakutonohondana.com)
最高のミステリー小説16選!
では早速、最高のミステリー小説を16冊、紹介していきたいと思います!
向日葵の咲かない夏:道尾秀介
まず紹介するのは、道尾秀介さんの「向日葵の咲かない夏」です。
タイトルを見ると、少年の夏休みを描いた爽やかな作品なのか・・・と思うかもしれませんが、これが実は、全く違います。
小学四年生のミチオは、夏休み前の終業式の日、学校を休んでいた同級生のS君の家へプリント類を届けにいって、そこでS君が首を吊って死んでいるのを発見するのです。そして後日、S君は「あるもの」に姿を変えて現われ、「自分は殺された」と訴えます。
道尾さんの作品の中でも1、2を争うほど有名な作品だと思います。初めて読んだのは随分前の話ですが、そのときの衝撃は今でもよく覚えています。読み終わったときには「何だ、これは!」と頭を抱えたい気持ちになりました(褒めてます)。
作品全体に漂う、読んでいると不安になって来るような、何とも言えない薄気味悪さ、そして最後に明かされる、規格外の真実。
正直に言うならば、好き嫌いが分かれる作品だとは思います。けれど、好き嫌いはともかくとして、強烈に印象に残る作品だとは思うので、忘れられない読書体験がしてみたいと思う人はぜひ、手に取ってみてください。
魍魎の匣:京極夏彦
次に紹介するのは、京極夏彦さんの「魍魎の匣(もうりょうのはこ)」です。
これは実は「百鬼夜行シリーズ」というシリーズものの2作目なので、1作目の「姑獲鳥の夏」(こちらも最高に面白いです!)から読むことをおすすめします。
ある夜、1人の少女が駅のホームから突き落とされ、電車に轢かれてしまいます。たまたま乗り合わせた刑事・木場は病院まで同行し、そこで少女の姉である女優の柚木陽子と出会います。一方、雑誌記者の鳥口と敦子は武蔵野バラバラ殺人事件の取材の途中で道に迷い、「匣」のような奇妙な建物に遭遇するのです。一見関係のなさそうな様々な出来事が入り組んだこの事件を最後に解きほぐすのが、憑物落とし・中禅寺秋彦なのです。
話が本当に複雑で、ぼんやり読んでいると何が何やらすぐに分からなくなりますが、しかし、一度入り込めたら後はもう面白くて一気読みしてしまいます。複雑に絡み合った謎が一つ一つほぐされて、一本の糸になっていくのがとても気持ちいいです。そして恐ろしくも美しいラストシーン・・・。あのシーンは忘れがたいです。
ただ、読みにくい部分があるので、ある程度読書上級者ではないと読み切れないかもしれません。実は私も中学生のときに読もうとして、二回ギブアップしたことがあります。高校生になって再チャレンジして、ようやく読み切ることができました。
シリーズ1作目の「姑獲鳥の夏」のリンクも下に貼っておきます。↓
アヒルと鴨のコインロッカー:伊坂幸太郎
お次は、伊坂幸太郎さんの「アヒルと鴨のコインロッカー」です。
大学入学のためにアパートに引っ越してきた椎名は、隣人・河崎に、出会ってそうそう、「一緒に本屋を襲わないか?」ととんでもないことを持ちかけられます。しかも、その目的はたった1冊の広辞苑だというのです。そんな馬鹿な話に乗る気はなかったはずなのに、決行の夜、椎名はモデルガンを持って、本屋の裏口に立ってしまうのです。
この話は、二年前と現在の場面が交互に展開されます。これらがどう繋がってくるのかが見所です。
ストーリーも登場人物たちの会話もわりとポンポンと軽快に進んでいきますが、全て読み終えたときには、何とも言えず、切ない気持ちになりました。明るいのにほろりと切ない、傑作ミステリーです。
ストーリーとともに、伊坂さん独特のセンスが光る文章表現も楽しみながら、読んでみてください。
斜め屋敷の犯罪:島田荘司
お次に紹介するのは、島田荘司さんの「斜め屋敷の犯罪」です。
こちらは、ミステリー小説界の巨匠とも言える島田荘司さんの、御手洗潔シリーズの代表作の一つです。
舞台は北海道の最北端、宗谷岬の高台に建つ西洋館・流氷館。この館は斜めに傾いて建っているため、土地の人からは「斜め屋敷」と呼ばれています。この館でクリスマス・パーティーが開かれ、その翌朝、殺人事件が起きます。
館ものであり、かつ密室ものでもあるこの作品は、そのトリックのすごさで、傑作としてミステリー界ではかなり有名です。私自身、これを越える密室トリックにはまだ出会えていません。
あまりにものすごいトリックのため、一部では「バカミス」(そんな馬鹿な!となるようなとんでもミステリー)と呼ばれているほどです。読者の常識を軽々と超えてくるとんでもトリックに、ぜひ驚愕してください!
折れた竜骨:米澤穂信
お次に紹介するのは、米澤穂信さんの「折れた竜骨」です。
こちらは、魔法の存在する世界を舞台にした本格ミステリーです。本格ミステリーファンからすると、魔法といういわば「なんでもあり」なものをミステリーに絡めるのは邪道では?と思うかもしれませんが、この作品はその魔法×本格ミステリーの大成功例と言えるでしょう。
舞台となるのは、ロンドンから出帆し、北海を3日ほど進んだ辺りに浮かぶソロン諸島です。その領主の娘であるアミーナは、騎士ファルクとその従士の少年ニコラに出会います。ファルクはアミーナの父が、恐ろしい魔術を使って人を殺す「暗殺騎士」に命を狙われていると警告します。
この作品は、ミステリーとファンタジーが、お互いを邪魔することなく絶妙に組み合わさっており、どちらも楽しめる一冊となっています。魔法という万能なものが絡まってくるにも関わらず、その謎解きはあくまでもフェアでしっかりとしており、本格ミステリ-ファンも大満足できると思います。
火車:宮部みゆき
お次に紹介するのは、宮部みゆきさんの「火車」です。
こちらは社会派ミステリーの傑作として名高い作品です。
休職中の刑事・本間が遠縁の男性に頼まれて、彼の婚約者である関根彰子の行方を探すことになります。徹底的に足取りを消して自ら失踪した彼女の秘密が、本間の調査によって少しずつ明らかになっていきます。
この小説のテーマは「カードローン」です。クレジットカードによって借金を重ねた結果、自己破産まで追い込まれ、人生の底まで落ちていってしまう・・・そんな人々の悲鳴に耳を傾ける機会をくれる一冊です。
カードでの借金も自己破産も、自分の今後の人生に絶対に起きないとは言えない、身近な悲劇です。この小説を読むと、「借金なんてする方が悪い」「自業自得」とは言えなくなると思います。
また、本間の地道な調査によって、意外な事実が明らかになり、少しずつ真実へと迫っていくのが、ミステリーとしてもしっかり読み応えがあります。
戦場のコックたち:深緑野分
お次に紹介するのが、深緑野分さんの「戦場のコックたち」です。
こちらは題名から見ても分かる通り、戦争が絡んだミステリー小説です。
第二次世界大戦、合衆国陸軍のティムはノルマンディー降下作戦で初陣を果たします。ティムは料理を担当する特技兵で、戦闘に参加しながら炊事をこなしていました。ティムは個性豊かな仲間たちとともに、戦場で起きる小さな事件や謎を解き明かすことを心の慰めとします。
ジャンルとしては「日常の謎」ではありますが、戦場という非日常を舞台に描いていることが特徴です。戦場が舞台ではありますが、仲間同士の友情もあり、料理に対するこだわりもあり、ささいな謎解きもあるので、すごく暗くて重々しいということはないです。ただ、物語が終わりに近づくにつれて戦況もだんだん悪化していき、戦争の虚しさ、苛酷さ、悲惨さのようなものを強く感じました。
深緑野分さんの戦争関係の作品ではもう一作、「ベルリンは晴れているか」という作品もとても面白かったので、ぜひ、合わせて手に取って見てください。↓
死なない生徒殺人事件:野崎まど
お次は野崎まどさんの「死なない生徒殺人事件」です。
かなり癖の強い学園ミステリーです。
生物教師・伊藤が赴任した女子校には「永遠の命を持った生徒がいるらしい」という噂がありました。当然信じていなかった伊藤でしたが、ある日、自分がその「死なない生徒」だ、という女子が現われます。しかし彼女は、程なく、何者かによって殺害されてしまうのです。
常人には思いつかないような独特な発想に驚かされました。大体本というのは、この後こうなるのだろうな、と予想しながら読むものですが、この作品は、その私の予想の斜め上を行く展開ばかりで、え?とか、どういうこと?とか、ああ、そうなるのか!とか、ずっと心が振り回されっぱなしで読んでました。読み終えた後の呆然が心地よかったです。
似たような作品というのが他にない、かなり独特なミステリーでした。
凍てつく太陽:葉真中顕
次に紹介するのは葉真中顕さんの「凍てつく太陽」です。
終戦間近の日本を舞台に描かれた社会派ミステリーです。
昭和20年、終戦間近の北海道で、今の悪い戦況を覆すかもしれないという陸軍の軍事機密をめぐり、連続殺人事件が起こります。アイヌ出身の特高刑事・日崎も捜査に加わりますが、背後で暗躍する何者かに翻弄されて・・・。
これは、本当に面白かったです。夢中で読んだし、読み終わった後もしばらく余韻から抜け出せずぼんやりとしていました。むしろ、面白いというよりは、「すごい」という言葉が合う小説だと思います。読み終わったとき、「何かものすごいものを読んだ」という満足感がありました。
話の展開はスピーディーで、次々と場面が展開し、はらはらドキドキしながら読み進めました。
戦前のアイヌや朝鮮人などの差別や民族問題をストーリーに絡め、「国家とは何か、民族とは何か」というスケールの大きな問題に真摯に向き合った、非常に良い作品でした。
片耳うさぎ:大崎梢
次に紹介するのが、大崎梢さんの「片耳うさぎ」です。
2人の少女が古いお屋敷に隠された謎を解くお話です。
小学6年生の奈都は、両親と離れて、父の実家で暮らすことになりました。その実家はとんでもなく大きくて古い日本家屋。そのお屋敷はどこか薄気味悪く、しかも「片耳うさぎ」をめぐる不吉な言い伝えまであるらしいのです。怖くなった奈都は中学3年生のさゆりに助けを求めますが・・・。
「謎めいたお屋敷」「隠し部屋」「隠し階段」そういったものが大好きな私にとっては、とってもわくわくする内容でした。私も昔、お母さんの実家の大きな日本家屋を冒険したりしていたので、その頃の子ども心を思い出しつつ、はらはらドキドキしながら2人の冒険を見守りました。子どものロマンが詰まった一冊だと思います。文章もけっこうライトで、読みやすいです。
あまり有名ではないですが、個人的に大好きな作品なので、入れさせていただきました。
十角館の殺人:綾辻行人
次に紹介するのは、綾辻行人さんの「十角館の殺人」です。
綾辻行人さんの記念すべきデビュー作であり、これを読んでいないとミステリーは語れない!というほどに有名な作品です。新本格ミステリーというジャンルの先駆けになった作品でもあります。
半年前に恐ろしい殺人事件があった九州の孤島に訪れた、大学ミステリー研究会の7人。島に建つ十角形の館に寝泊まりすることになりますが、そこで彼らを待ち受けていたのは、恐るべき連続殺人でした。いったい誰が犯人なのか?
綾辻行人さんは私の一番好きな作家さんなのですが、その中でもこの「十角館の殺人」はやはり別格です。読み終えたときの衝撃がすごかったです。1987年に出版された本ですが、30年以上経つ今でも、初めて読んだ人が驚愕し、すごい!と思える、不朽の名作です。とにかく読んでみてほしいです。
なお、この「十角館の殺人」を1作目とする、綾辻行人さんの「館シリーズ」は、今のところ9作目まで出ていますが、全て面白いので、ぜひそちらも読んでみてください。
アリス殺し:小林泰三
次に紹介するのは、小林泰三さんの「アリス殺し」です。
斬新な設定と天才的な発想が光る、邪悪なホラー・ミステリーです。
大学院生の栗栖川亜理は最近、不思議の国に迷い込んだアリスという少女の夢ばかり見ています。ハンプティ・ダンプティが墜落死する夢を見た日、大学に行くと、「玉子」という綽名の研究員が屋上から転落死していました。夢と現実の死のリンクに気付いた亜理ですが・・・。
発想が独特で天才的だな、と思いました。ただ、「不思議の国のアリス」の世界観と絡めて話が進んでいきますが、可愛らしくてポップな物語ではなく、前述したように、最初から最後までずっと邪悪です。小林泰三さんの作品なので、グロい描写もかなり多く、苦手な人は辞めた方がいいかもです。(私もかなりキツかったです。)
でもストーリー自体はめちゃくちゃ面白いし、最後に明かされるトリックも驚愕です。グロさえ耐えられれば、最高のミステリー小説だと思います。
容疑者Xの献身:東野圭吾
お次に紹介するのは、東野圭吾さんの「容疑者Xの献身」です。
こちらは直木賞も受賞した、東野圭吾さんの最高傑作とも言われる作品です。
天才数学者でありながら不遇な日々を送る高校教師・石神は、隣人の靖子に密かな思いを寄せていました。しかしある夜、靖子と娘は、前夫を殺害してしまいます。それを知った石神は、二人を救うためにある計画を立てるのですが・・・。
犯人が初めから分かっている倒叙の形式で書かれているミステリー小説です。探偵役である物理学者の湯川と石神の頭脳戦、そして驚愕の結末。この二人が実はかつて親友だったというのもまた、この物語に切なさを与えています。
人は、愛する人のために、どこまでできるのか。人の心の美しさを感じられる素晴らしいミステリーでした。
幻の女:ウィリアム・アイリッシュ
次に紹介するのは、ウィリアム・アイリッシュの「幻の女」です。
海外ミステリーの中でも有名な作品で、サスペンスとしても楽しめます。
妻と喧嘩し、一人で街を彷徨っていた男は、奇妙な帽子を被った女と出会い、夜の街を楽しみます。女と別れ、家へ帰ってみるとなんと、妻が首を絞められて殺されていました。男は帽子の女の存在をアリバイとして主張しますが、なぜか女は見つからず、裁判で有罪になってしまいます。死刑執行の日までに、彼の無実は証明されるのでしょうか。
死刑執行の日が刻一刻と迫ってくるという緊迫感に溢れた状況に引き込まれ、はらはらしながら一気読みしました。そして、確かに一晩をともにしたはずの帽子の女が、まるで彼だけが見ていた幻のように一向に見つからないのも何とも不思議で、面白かったです。1942年に出版された本ということですが、個人的には、あまり古くささを感じませんでした。
その女アレックス:ピエール・ルメートル
お次はピエール・ルメートルの「その女アレックス」です。
本屋大賞の翻訳小説部門で1位になり、話題になった作品です。
「お前が死ぬのを見たい」・・・そう言って、男はアレックスを誘拐し、監禁します。檻の中で衰弱していく彼女は、しかし、死を前にして脱出を図りますが・・・。
残虐なシーンもけっこう多かったですが、面白かったです。アレックスが誘拐されるところから始まりますが、それはあくまでも序章で、アレックスが監禁場所から脱出して以降は、思ってもみなかった方向へ話が進んでいきます。何度も驚かされました。
次々に場面が展開され、新しい真実が出てくるので、飽きることなく、夢中で読み進めました。残虐な描写が苦手な方は読むのがつらいかもしれませんし、後味も悪いですが、本当に面白いので、ぜひ一度読んでみてください。
ちなみに、「その女アレックス」は、実はカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズの2作目で、順番的には「哀しみのイレーヌ」が1作目で先なので、シリーズの順番が気になる人は、こちらを先に読んでおいた方がいいかもしれません。↓
カラスの親指:道尾秀介
最後に紹介するのは、道尾秀介さんの「カラスの親指」です。
道尾秀介の真骨頂とも言われる傑作ミステリー小説です。
人生に敗れて、詐欺を生業に生きる二人の中年男、武沢とテツさん。ある日、彼らの生活に一人の少女が転がり込みます。それをきっかけに同居人は増えて、5人と1匹に。しかし、彼らの哀しい過去が、現在に影を落とします。自分たちの運命に一矢報いようと、彼らが企てた大計画とは?
息もつかせぬ、とはこのことで、逆転に次ぐ逆転の展開で、一気に読み切りました。騙されているのは相手なのか、自分たちなのか、それとも私たち読者なのか?読んでいると、それが分からなくなってきます。
それぞれに暗い過去を背負う人々が、そんな過去を背負わせた奴らに仕返ししようと立ち上がる様は胸が熱くなりますし、ラストも驚愕、読後感も爽やか。ミステリーとしてだけではなく人間ドラマとしても読み応えがあります。ぜひ読んでみてください。
まとめ
みなさん、どうでしたでしょうか。
この記事では、おすすめのミステリー小説を16冊、紹介しました。
ミステリーと言えば、というような定番の作品もあれば、あまり有名ではない作品もありましたが、共通するのは、最高に面白い、ということです。
本当は面白いミステリー小説はもっともっとたくさんあるのですが、ここでは、特に私が面白いと思ったもの、思い入れがあるものを紹介させていただきました。
気になった作品をぜひ、手に取って見てください。
では、ここらで。
いい読書ライフを!
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